当記事が、回り回って「NewsPicks」本家に掲載されていました。
NewsPicks上の「続きを読む」をクリックすると、当記事に飛ばされます。そのため、本文を読まれたい方は、このまま当記事をお読みください。(二度手間になってしまうため。)
NewsPicksに掲載されている様子や、私の記事に対するコメントを確認したい方は、以下をご覧くださいませ。
補足(2018.9追記)
当記事は、2018年6月25日、日本経済新聞に掲載された「NewsPicks広告」に対し、「どうすれば炎上しなかったのか?」と、分析・考察した記事です。
時事ネタではないため、この炎上広告や、NewsPicks自体もご存知なくても問題ございません。(一応、NewsPicksの説明や、炎上広告もそのまま掲載していますので、把握することもできます。)
当記事では、炎上広告を反面教師的な例にして、広告を「分析→考察→添削→リライト」し、下記の内容を理解できる内容にしてあります。
- 広告で伝えたいことの整理
- 広告の目的整理
- 広告の良かった点(見方によって変わる)
- 広告のターゲット(お客様層)整理
- 炎上する原因(今回悪かった点)
- 広告でどうやって注目させるか
- セールス広告とイメージ広告の違い
- 広告(コピー)の作り方&手順
- どうすれば良かったのか(添削・リライト)
つまり、このNewsPicksの広告例を通して、広告の作り方について知ることができます。
当記事タイトルの『NewsPicks「さよなら、おっさん。」広告はどうすれば炎上しなかったのか?』について知りたい方はもちろんですが・・・
広告を使って、イメージアップ・集客アップ・売上アップなどをしたい方にも、お役に立てる内容です。気になる方は当記事をご覧くださいませ。
Contents
NewsPicksが「さよなら、おっさん。」という広告を出して炎上
6月25日、日本経済新聞の広告に、NewsPicksが出した広告を出した。この「さよなら、おっさん。」というコピーおよび広告が炎上しているようだ。
念のため「NewsPicksとはなんぞや?」という方向けに、簡単に説明するとこちら。
本家がこう短く説明しているので間違いないだろう。
広告も炎上も、もう2日前の話なので少しは落ち着きを取り戻している。また、NewsPicksも弁解を始めたから今更ではあるが、一応コピーライターの端くれとして取り上げようと思う。
全文を書き起こすとこういう文章だ。
“さよなら、おっさん。
あーまたか。みたいな、困った出来事多いですよね、最近。
それ、だいたい「おっさん」のせいです。
と言ってもそれは、誰かの個人ではなく。年齢とか性別の話でもなく。
それはつまり、この国の、凝り固まった価値観やルールのことです。
世の中の変化に対して、見て見ぬふりをする。
能書きを並べて、言い訳ばかりする。
試そうともせず、すぐに「できない」とか言う。
そんな「おっさん」に、負けないために。
今知るべき情報と生の意見で、この国を価値観をアップデートすること。
大げさに言えば、それが私たちの使命です。
自分、もう「おっさん」ですけど。そう思った方も、ご安心を。
人は、情報でいくらでも若返ることができる生き物、ですから”
これを読んで、皆さんはどう思っただろうか。
まず読ませる「つかみ」は悪くない
「NewsPicks」の知名度・認知度をあげたかったのか?
私としては、やや強引ではあるものの「つかみは悪くない」と感じた。
これが良い広告か、良いキャッチコピーかと聞かれたら話は別だが、良くも悪くも話題になっているので、「つかみは悪くない」はずである。
おそらく炎上狙いではなかったはずだが、炎上狙いの広告であれば大正解だ。(個人的には炎上狙いの広告はおすすめしない。結果的になってしまった場合は火消しするしかない。だが、明らかに広告主の企業側が悪くない場合は無視でも良いと思う。)
広告は、見てもらわなければ終わりだ。いくら新聞にでかでかと広告を出したからといって見てもらえるとは限らない。見てもらえても「ふーん」と流し見されたら記憶にも残らないし、どこの広告なのかも覚えない。広告費の無駄だ。
そう考えると、NewsPicks側としては、「とりあえず目を留めさせて読ませる」「NewsPicksというサービスがあり、そこは情報を提供している何かと知ってもらう」ということに関しては成功している。
日経新聞を読んでいる層が、NewsPicksを知っているとは限らない
「日経新聞を読んでいる層はNewsPicksくらいは知っているし、見ている人も多いだろう」と思う方もいるかもしれないが、ネットに疎い層も日経新聞をとっている。ネットに疎いということは、NewsPicks読者ではない可能性も高い。
私が6年前にいた生命保険会社では、強制的に日経新聞を毎日読ませていた。朝礼の時に順番に説明する時間さえ設けられていて、買うしかなかったのだ。銀行や証券の友達にも聞いたところ、同じだと言っていたのを覚えている。
金融系は読んでいて当たり前なのかもしれないが、高齢の方々はガラケーばかり、パソコンは会社支給のものだからネットは見られない状態であり、自分のパソコンは持っていないという人も多かった。
また、1年前に金融業界の営業マン向けの講座の広告やらメルマガを作成したことがあるが、「ネットは苦手」だと言う人が多かった。
特に、保険営業マンに関しては、セミナーなどを開いても会社アドレスで申し込み人も多く、自分用のパソコンもスマホも持っていない層が多かった。
おそらく会社用パソコンさえあれば、自分用のパソコンやスマホがなくても困らないのだろう。オンライン講座を開いても、スマホや自分のパソコンがないから開けないという層も多く、驚いた。(なお、日経新聞は買っているとのことだった。)
金融業界で営業として働く中高年層(少なくとも昔私がいた日本生命や、友達や知人やお客様がいるソニー生命、プルデンシャル生命、AIU損保関連の中高年層)にはネットに疎い人が多く、スマホやパソコンを持っていない層が多かったのだ。そのため、NewsPicksを知らない可能性は大いにある。
特にパソコン・スマホがない高齢の方は知らない可能性がある
また、私の祖父は80歳を超える人なのだが、いまだに日経新聞を欠かさず読んでいる。元保険会社の人で株をやっている人だからかもしれないが、こういう方も多いだろう。
経営者や社長であっても、ご高齢の方はもしかすると日経を読んでいるものの、ネットに触れていない可能性は高い。(その方々が読みたくなるかは別だが。)
だから、日経を読んでいるものの、NewsPicksは読んでいないどころか、知らない人もいることだろう。
改めてそう考えると、NewsPicks側としては、「とりあえず目を留めさせて読ませる」「NewsPicksというものがあり、そこは情報を提供している何かと知ってもらう」ということに関しては成功している。
「まずはつかみ」という広告の第一段階においては、正しいとも言える。この広告やコピーの内容が良い悪いは別にして、「まずは目を留めさせて話題にさせた」という事実はあるので、おそらく狙い通りだろう。
News Picksは広告で何がしたかったのか?
広告の文章を分解して、考えてみた
再度貼るが・・
“さよなら、おっさん。
あーまたか。みたいな、困った出来事多いですよね、最近。
それ、だいたい「おっさん」のせいです。
と言ってもそれは、誰かの個人ではなく。年齢とか性別の話でもなく。
それはつまり、この国の、凝り固まった価値観やルールのことです。
世の中の変化に対して、見て見ぬふりをする。
能書きを並べて、言い訳ばかりする。
試そうともせず、すぐに「できない」とか言う。
そんな「おっさん」に、負けないために。
今知るべき情報と生の意見で、この国を価値観をアップデートすること。
大げさに言えば、それが私たちの使命です。
自分、もう「おっさん」ですけど。そう思った方も、ご安心を。
人は、情報でいくらでも若返ることができる生き物、ですから”
こちら。これを分解して解釈してみると・・・
さよなら、おっさん。
→ 目を留めさせて読ませる。「どんな意味だ?」と興味をもたせたり、「喧嘩売ってんのか?」と思わせ、キャッチコピー以降の本文を読ませたい
あーまたか。みたいな、困った出来事多いですよね、最近。
それ、だいたい「おっさん」のせいです。
と言ってもそれは、誰かの個人ではなく。年齢とか性別の話でもなく。
それはつまり、この国の、凝り固まった価値観やルールのことです。
→“我々は「おっさん」の個人攻撃をしていませんよ。もっと大きな話をしているんです。それに、性別とか年齢とか関係ないのですから、中高年の男性を指しているとは限らないんですよ”と言いたい
世の中の変化に対して、見て見ぬふりをする。
能書きを並べて、言い訳ばかりする。
試そうともせず、すぐに「できない」とか言う。
そんな「おっさん」に、負けないために。
→“「おっさん」というのは、こういう人のことです。周りにいませんか?嫌ですよね・・・”という共感と、“まさかあなたのような方がこんな「おっさん」ではないですよね?”と言いつつ、暗に“あなたはあてはまっていませんか?”ともいって考えさせたい
今知るべき情報と生の意見で、この国を価値観をアップデートすること。
大げさに言えば、それが私たちの使命です。
→“そんな「おっさん」に足りないのは、情報と生の意見です。そんな「おっさん」を減らすために、我々は情報を届けています。こういう使命があるので、日頃「おっさん」に迷惑していて、「おっさん」を減らすことで日本を良くしたいと思う「おっさん」ではない皆さんならば、共感していただけますよね?それに、すでに読んでいるあなたならわかりますよね?あなたは選ばれた人なんです。我々はそういうサービスを提供していますので、知らない方はぜひお見知り置きを!”と言って、NewsPicksの知名度・認知度・ブランド力を上げたい
自分、もう「おっさん」ですけど。そう思った方も、ご安心を。
人は、情報でいくらでも若返ることができる生き物、ですから”
→“え?もしかして「自分はおっさんかも!?」と思ってしまいました?まさかとは思いますが「NewsPicks」知りませんでした?いやいやあなたならそんなことないですよねー?!まぁどちらにしても大丈夫!今からうちのNewsPicksで情報や生の意見を読んでいれば若返りますよ!さあ、NewsPicksを読んでください!”と言って、購読者を増やしたい
という具合だろうか。つい意地悪に書いてしまったが、軽い口調で書けばこんな感じだろう。
そもそも、広告の目的とは?
結局、広告なのだから目的としては、
- 知名度を上げたい(イメージ広告に多い)
- 認知度を上げたい(イメージ広告に多い)
- ブランド力を上げたい(イメージ広告に多い)
- 集客したい(セールス広告に多い)
- 売上を上げたい(セールス広告に多い)
のどれかだろう。
※「イメージ広告」と「セールス広告」の違いをざっくりいうと、「イメージ広告」はイメージアップのための広告、「セールス広告」はセールス(売る)ための広告。の詳しく知りたい方はこちら。正直わからなくてもこの記事は読めるので気になる方はどうぞ。
今回のNewsPicksとしては・・・
- 知名度を上げたい(イメージ広告に多い)
→サービス名を知らせたい - 認知度を上げたい(イメージ広告に多い)
→何をやっているサービスなのか知らせたい
- ブランド力を上げたい(イメージ広告に多い)
→読む人は「自分はおっさんじゃない」と誇りに思って欲しい - 集客したい(セールス広告に多い)
→読者を増やしたい
- 売上を上げたい(セールス広告に多い)
→あわよくば有料会員の読者を増やしたい
といったあたりだろうか。新聞広告(とくに一面を使った広告では)売上や集客アップよりも、知名度や認知度アップの方を狙う広告が多い。
売上や集客アップを狙って、今すぐ申し込んでもらうことを期待するならば、もっとターゲットを絞って安い広告を打った方が効果的だからである。わざわざあんなでかでかと出す必要もない。
だから、NewsPicksが広告を出した目的は、「まずは知名度・認知度・ブランド力を上げたい」というのが目的で「集客や売上は今後の目標で、あわよくば上げたい」といったところだろう。
何が悪かったのか?
真意をくみ取らせようとしているのが甘い
まず、「真意をくみ取らせよう」としている時点でアウトだ。あとで弁解もしているが、ギャグを言って「それってどういう意味?」と聞かれ、わざわざ説明をしなければなかった時並みに寒い。
先ほど私は分解しながら「何をNewsPicksは言いたいのか?」と考えたが、わざわざ真意をくみ取ろうとして考える人なんていないだろう。
そもそも、広告をまじまじと読んでくれる人なんてなかなかいない。ましてや、「この広告が意図することは?」などと考えながら読む人は、本業で広告に関わる人くらいしかいないはずだ。
にもかかわらず、「わかる人に、わかればいい」みたいにぶん投げて回収しなかったのがまずい。
あえて限られた層を狙って「わかる人に、わかればいい」といっているのならばわかるが、でかでかと新聞広告にした以上、「とにかく多くの人に知ってほしい」というスタンスだったはず。
それに、ただ煽って怒らせただけというのが甘いし、救いがない。どんでん返しもないので面白くないのだ。
最後まで救いがない
最後の一文、“自分もう「おっさん」ですけど、そう思った方もご安心を。人は、情報でいくらでも若返ることができる生き物ですから。”で、救ったつもりなのかもしれない。
しかし、「あなたはおっさんだけど、努力次第では変われるよ?うちのNewsPicksで情報とればね。」と、上から目線に見える。
もしかすると、あえて上から目線にすることで、「NewsPicksとは選ばれた崇高な人が読むべきものなんです」とブランディングしたかったのかもしれない。とはいえ、今後そういう展開にしていきたいのかもしれないが、他にも方法はあっただろう。
それに「選ばれた崇高な人が読むべきもの」にしたいのであれば、煽り広告は禁物だ。崇高な選ばれた人間でありたいと思うのであれば、下品に煽った広告を出している商品など使いたくないだろう。
読者や未来の読者をバカにしたのが1番の問題
正直、NewsPicksを使わなそうな人、そして今後も使って欲しいとは思わない人から叩かれているのであれば、それは無視でも良いと思う。(もちろん嫌われもすると思うが、そういう方針ならばありだ。)
もしそういう方針なのであれば、「ま、使わないなら勝手に言ってれば?これは愚民が使うもんじゃないんで」と開き直っても良いだろう。(これまた悪いイメージにとらわれるかもしれないが、そういう戦略ならばありだ。)
ただし、あの本文では、お客様である「読者層」までもを怒らせた可能性があることが問題なのだ。
「おっさん」にあてはまらないまともな読者層でも、「え?俺、バカにされてる?」と思うかもしれない。それに、そんなふうにバカにするNewsPicksに嫌気がさす可能性だってあるだろう。
嫌気がさすのは読者だけではない。寄稿側の書き手もだ。実際、寄稿している側の方が「もう寄稿しません」と降りている。しかもさよならしたのが「おっさん」ではない若い女性なのだから皮肉なものだ。
“自分もう「おっさん」ですけど、そう思った方もご安心を。人は、情報でいくらでも若返ることができる生き物ですから。” のままだと、「あなたはおっさんだけど、努力次第では変われるよ?うちのNewsPicksで情報とればね。」と、上から目線に見えてしまうので、読者層も敵にする可能性がある。一体何がしたかったのだろう。
読者層を敵にするのは良くない。キリンビバレッジ「午後の紅茶」炎上広告の時と同じである。
「午後の紅茶」ツイートが炎上 キリンビバレッジが謝罪(BuzzFeedNews)
→https://www.buzzfeed.com/jp/takumiharimaya/gogono-tea?utm_term=.axe6o4yBoR#.nnk6MRP3Mk
あの広告では、「午後ティー女子」というタグをつけて午後の紅茶を飲んでいる「痛い女子」例をあげ、小馬鹿にしていた。
あるあるネタと自虐ネタとして拡散を狙ったのかもしれないが、あまりにお客様をバカにしすぎていて炎上した。
このように、わざわざ広告費を払い、お客様をバカにして怒らせる広告を出して炎上させる企業には「一体何がしたかったの?」と聞きたくなる。
では、どうすればよかったのか?
NewsPicksがあの広告を出した目的が・・・
- 知名度を上げたい(イメージ広告に多い)
→サービス名を知らせたい - 認知度を上げたい(イメージ広告に多い)
→何をやっているサービスか知らせたい
- ブランド力を上げたい(イメージ広告に多い)
→読む人は「自分はおっさんじゃない」と誇りに思ってほしい - 集客したい(セールス広告に多い)
→読者を増やしたい
- 売上を上げたい(セールス広告に多い)
→あわよくば有料会員の読者を増やしたい
と、仮定し、なおかつあの広告を大々的には手直しせず、炎上を最小限にし、炎上しても開き直って言い逃れできるまでにするのであれば、私ならば最後の1文を変える。
“自分もう「おっさん」ですけど、そう思った方もご安心を。人は、情報でいくらでも若返ることができる生き物ですから。”
ここのニュアンスを「この広告に反応した時点で、あなたはおっさんじゃないよ。おっさんなら、反応しないからね。」くらいで締めれば、ここまでは炎上はしなかったと思う。
イメージ広告とセールス広告を混ぜたら危険
おそらく当初は、
- 知名度を上げたい(イメージ広告に多い)
→サービス名を知らせたい - 認知度を上げたい(イメージ広告に多い)
→何をやっているサービスか知らせたい - ブランド力を上げたい(イメージ広告に多い)
→読む人は「自分はおっさんじゃない」と誇りに思ってほしい
上記を狙ったイメージ広告だったはずだろう。
しかし、
- 集客したい(セールス広告に多い)
→読者を増やしたい
- 売上を上げたい(セールス広告に多い)
→あわよくば有料会員の読者を増やしたい
という気持ちが前に出すぎてしまった結果があれだといえる。
当初は知名度や認知度、ブランド力を上げてイメージアップしたかったはずなのに、「NewsPicksを読ませたい、あわよくば買わせたい」という急ぐ気持ちが出てきてしまった。思っても良いが、あそこに出すのは危険だった。
「あなたはおっさんだけど、努力次第では変われるよ?うちのNewsPicksで情報とればね」という雰囲気がでてしまったのである。
私が最後の文をリライトするならこうする
最後の一文を変えるのであれば、
【原文】
“自分、もう「おっさん」ですけど、そう思った方もご安心を。人は、情報でいくらでも若返ることができる生き物ですから。”
【リライト】
“自分、もう「おっさん」ですけど、そう思った方はご安心を。そんな風に思った時点で、あなたは「おっさん」ではありません。人は、情報でいくらでも若返ることができる生き物です。あなたも私たちと一緒に、この国の価値観をアップデートしていきませんか?”
このようにしたい。こうすれば、余計な敵を作らずに済む。
「さよなら、おっさん。」というキャッチに怒ったり、「もしかして・・・」と思った人でも、「ああ、自分は違うんだ」と思えるだろう。
それに、炎上したとしても、「いやいや、あなたたちのことは“おっさん”とは思っていませんよ?読みました?」とも開き直れるかもしれない。
たとえ怒った人がいたとしても「そういうところがおっさんなんですよ」と、仲間になった周りがなだめてくれるかもしれないし、怒る=おっさんと定義つけられると恥ずかしくなって黙ってくれるかもしれない。
また、「あなたも私たちと一緒に、この国の価値観をアップデートしていきませんか?」ということで、仲間意識を持たせることができるし、あなたは違う、変える側の人だとも思わせることができる。
そして、下手に上から目線でブランディングするよりは、「あなたは国の価値観をアップデートしていく」という崇高な使命を持った選ばれた人間ですと伝えることができる。
さらに、「そんな崇高な使命を持ったNewsPicksを読むだけではなく、同じ使命を持った仲間として日本を変えていくんだ!」とも使命に燃えていただければ、そんな自分に誇りに持ってもらえる。
すると、NewsPicksの一読者ではなく、NewsPicksへ仲間意識が芽生える。何かあっても応援しよう、支えようと思う、コアなファン層も生まれるかもしれない。
そういうわけで私はこのようなリライトをしてみた。方向性としては大きく変えていない。NewsPicksが言いたかったであろう真意をくみ取り、あくまで元の広告を活かしたつもりだ。
広告を使って「誰に何をしてほしいのか?」を見失わないように
強引なキャッチは悪いとは言わない。煽りも上品とは言えないが、そういう方法もあるだろう。だが、強引につかみ、煽ったからには、説明できる理由や救いがなければ炎上する。
それに、お客様かつ未来のお客様ではない人を敵にまわしても仕方ないとも言えるが、お客様や未来のお客様を怒らせたり、敵にまわすのは賢明ではない。
そして、広告を用いて「誰に何をして欲しいのか」、そこがずれてしまうとこのような結果になる。
おまけ:「さよなら、おばさん」だったらどうなのか?
「さよなら、おばさん」だったらもっと炎上していたと書いていた人もいるが、確かにそうかもしれない。今の時代では無理だ。
(とはいっても、「おっさん」ならいいかという問題でもないが、NewsPicksでも「さよなら、おばさん」を言ったら大変なことになるということはわかるだろう。)
Twitterを見ていたら、真面目(ちょい良)(@majimessimo)さんが、村上龍氏が35年前に行っていて、それの焼き直しでしかないような気がする」のようとおっしゃっていた。
https://twitter.com/majimessimo/status/1011429619742806016
本当にNewsPicksが村上龍氏の内容をわかっていて焼き直しをしたのだとしたら、とても恥ずかしい。二番煎じにするならば、村上龍氏の作品を越えるコピーをつくってほしいものである。
追記(7/11):当記事がNewsPicksに載っていた件
6月28日、当記事『NewsPicks「さよなら、おっさん。」広告はどうすれば炎上しなかったのか?』が、NewsPicks本家にのるという珍事が起きた。
その件について上記、別記事に書いている。「ああ、これが『NewsPicks』なのだな」と、当事者として体験できたので良かったのかもしれない。