この質問は怒られるのか
「御社の業界は斜陽ですし、
今後の広がりは見えないのですが、
その辺はどうお考えですか?」
このように質問されたら、イラっとくる人も多いだろう。
失礼承知で質問をしなければならない時もある
私は普段、広告制作や執筆をするため、ヒアリングや取材する機会が多い。商品や会社の強みを引き出すため、商品・サービスを売るためには、やや失礼になりそうなことでも突っ込んだ質問をしなければならない。
そのため、相手を怒らせないように気をつけながら質問するようにしている。
職業柄、質問方法や、つっこんだ質問によって相手がどのような反応するのかはわかる方だとは思うので、ヒアリング方法についてアドバイスを求められることも多い。
そういう経緯もあり、転職活動中の人に質問の仕方のアドバイスを求められた。
突っ込んだ質問しても、相手を怒らせない方法
冒頭の質問、
「御社の業界は斜陽ですし、
今後の広がりは見えないのですが、
その辺はどうお考えですか?」
というつっこんだ質問をしたいのだと言う。現状は業績も良い会社だが、斜陽業界ではあるので今後の展望が見えにくい。だから、経営陣がどのように考えているか聞きたいと言うのだ。確かに、長く勤めるのであれば聞きたい質問であろう。
とはいえ、そのまま言ったらかなりカチンとくる質問だ。ご高齢の経営陣相手なら尚更だ。
「何もわかっていないくせに」
「お前に言われたくはない」
「なぜ斜陽だとわかっていて受けに来たのか」
「我々をバカにしているのか?」
などと怒らせて、不採用になる可能性もあるだろう。
ではどうするかと言うと、自分の思いではなく、根拠となるデータで示すのだ。
「御社の業界は斜陽ですし、
広がりは見えないのですが、
その辺はどうお考えですか?」
と言う聞き方のままだと、ただの感想だ。勝手に「斜陽」で「広がりがない」と思い込んでいるように聞こえる。
もし、何か根拠があって言っていることでも、ただの思い込みだと勘違いされるかもしれない。
だからこそ、根拠を示すのだ。
模範解答
おそらく、模範解答はこれ。
「先月の〇〇新聞で、
御社の業界は斜陽であり、
今後の広がりが見えないと書かれていました。
私はそうとは言い切れないと思いますが、
この件に関しては、どうお考えでしょうか?」
「先月の〇〇新聞で」と言うことで自分の妄想で話していないとわかる。さらに、情報を収集していることもアピールできる。それに、自分の口からは言いづらい「御社の業界は斜陽であり、広がりが見えない」は、あくまで〇〇新聞の意見だ。
さらにダメ押しで、「私はそうとは言い切れないと思いますが」と曖昧なクッション言葉をあえて入れることで「私は味方ですよ」アピールをし、怒らせることなく、冷静な回答を引き出すことができる。
そして最後に1番聞きたい「この件に関しては、どうお考えでしょうか?」を言うのだ。
実際に、このように聞いたところ、怒らせることなく、きちんとした回答をいただけたと言う。
根拠となるデータに語らせる
聞きづらい質問をする際に大事なポイントは、自分の感想ではなく、何かに言わせること。聞きづらい質問があるならば、その根拠となるデータを集める。
「先月の〇〇新聞で、
御社の業界は斜陽であり、
今後の広がりが見えないと書かれていました。
私はそうとは言い切れないと思いますが、
この件に関しては、どうお考えでしょうか?」
この質問は、先に〇〇新聞を見てから気になった質問のように言っているが、〇〇新聞のデータは後付けだ。相手を不快にさせて怒らせないようにするためにも、自分が攻撃されないようにするためにも、根拠かつ後ろ盾になるようなデータは必要になる。
ある意味、自分の身代わりとして〇〇新聞につっこんだ質問をさせたようなものだ。このようにすれば、つっこんだ質問をしても相手は怒ることもない。たとえ焦ったり、少々嫌だなと思ったとしても、攻撃してくることはない。誤魔化すこともなく、答えてくれると思う。
もし、相手を怒らせずにつっこんだ質問をしたいときは根拠となるデータを集めて、それを後ろ盾にして質問することをオススメする。