伝わる書き方・広告術

同情よりもメリットで人を動かそう。

人はメリットに動かされるもの

最近、犬の殺処分0を掲げている地域や団体が多い。そのため、facebookやTwitterなどでも頻繁に「どなたか飼いませんか?」という書き込みは見る。取り組みとしてはとても良いことだし、賛成だ。

だが、「明日には殺されてしまうんです!どなたか飼っていただけないでしょうか?」などという、同情されること“だけ”を全面的にアピールするものが多い。そして、ワンちゃんは、悲しそうで辛そうな表情をしている。ましてや、虐待された傷跡をわざと見せつけているような写真まである。

このようなアピール方法で、一体どのくらいの人が「シェルターにいるワンちゃんを飼いたい」と思うのだろうか。

そもそも、一般人からはシェルターという存在自体がよくわからない。どのような場所で、どのような動物がいるのかということは、さほど知られていないのだ。捨てられた動物が収監され、一時的に保護され、引き取り手がいなければ殺されてしまうくらいのイメージしかないかもしれない。

アピールしている人からしたら、「誰でも知っているもの」「調べればわかるでしょ」「調べるくらいの気持ちがない人にまかせられない」「そんなことより可哀想なこの子を見て!早く助けてあげて!」と思っているかもしれない。だが、そのようなスタンスでは、いつまでたっても引き取り手は増えないだろう。

誰にでも「強み」は必ずある

シェルターの子は、ただ可哀想なだけの子ではない。数日後に捨てられる運命を待つしかない、悲劇のヒロインでもない。とても賢くて良い子ばかりだ。早く引き取り手が見つかるように、きちんとしつけられているのである。それに、とても綺麗にされていて、予防接種済み。これは、シェルターにいる動物たちの強みでもある。

「僕は犬にトイレの躾をするのが得意じゃないんだ。だから、ちゃんと『トイレトレーニング』が済んでいるシェルターの犬は最高なんだよ。」

これは、シェルターでペットを引き取った海外セレブ、ジョージクルーニーの言葉だ。実際このように、シェルターの犬に強み(メリット・良さ)を見出し、あえて選んでいる人がいる。ただ「可哀想だから」「私が飼ってあげなくちゃいけない」と選ぶのではなく、メリットを感じ、飼いたいから飼う人もいる。

また、以前、殺処分寸前の子たちの外見をシャワーやカットで整えて、その綺麗にしてもらって嬉しそうにしている様子を写真に撮って「飼い主募集」を掲げたという話があった。その結果、「飼いたい」と言う人が殺到したと言う。申し出た人たちに理由を聞いてみたところ、「可哀想だから」という人はおらず、「可愛くて飼いたかったから」といったものばかりだった。

たとえ同情をしたとしても、「飼いたい」という欲求がない限り、人は動かない。その欲求を後押しするメリットや強みを打ち出す、もしくは尻込みする懸念点を打ち消すことが、人を動かす上で大事になってくる。

同情よりも、メリットを提示しよう

「可哀想だから引き取って欲しい」
「処分されてしまうから助けて欲しい」

これも事実だ。確かにそこで「なんとかしてあげたい」と、申し出る人もいるだろう。しかし、募金活動と同じで、同情に訴える方法は頭打ちだ。いくら飼いたくても、スペース的な問題や「ペット禁止」という条件で飼えない人もいる。

そもそも、心の底から「募金して助けたい」シェルターの犬を飼って助けたい」と思っている人は、その行為自体が自分を喜ばすことであり、それだけでメリットになっている。だが、そこまでの境地にまでなっている人はなかなかいない。

とはいえ、「中途半端な気持ちな人はお断り」と言ってしまったら、いつまでたっても募金も飼い主も集まらないだろう。どれほど同情に訴えても、響かない人には響かない。だからといって、その人が冷たい人とは言い切れない。メリットを感じなければ動かない人の方が多いのだ。これは募金と同じである。

会社経営者に募金してもらいたい場合は?

人としてどうかと思われるかもしれないが、例えば、会社経営者の方に募金してほしいのだとしたら・・・

「募金をすると、御社名をスポンサーとしてグッズに刻印します。宣伝にもなりますし、あなたの会社のイメージアップにつながりますよ。」

と、相手が求めるメリットを伝えると、相手に響くかもしれない。無料で宣伝してくれるのだとしたら優しい会社というイメージアップにもなるし、経営者の印象も変わる可能性もあるだろう。

だからこそ、「募金したい」などといった気持ちはあるものの、「何か悩みがあって二の足を踏んでいる人」、「募金すると損した気分になってしまう人」を後押しするような伝え方が重要なのだ。

寄付金を数万ドル集めた方法

実際にあった事例なのだが、「つらい思いをしている病気の方へ寄付してください」と会社経営者宛に寄付を募る手紙を出しているものの、全く寄付金が集まらなかった慈善団体があったとか。

しかし、

「こんな大企業も協力してます」
「御社を大々的に取り上げてCMで流します」

ということを全面的に出した手紙にしたら、一気に寄付金は数万ドル集まったとのこと。(その手紙は書籍「究極のセールスレター」34ページに載っている。)

「犬は大好きで、前から飼いたいと思っていたが、しつけに自信がないから犬を飼うのを諦めていた」と言う人たちの望みは、「しつけ済みの犬を飼いたい!」ということだろう。彼らにとっては、ペットショップの犬でも、シェルターの犬でもどちらでも良いだろう。

そのため、彼らの心に響くように書くのであれば

「犬の”しつけ”に自信がなくて、
飼うことを諦めた犬好きのあなたへ」

といったような書き方をすれば良いのである。

綺麗事だけでは解決しない

昨今、寄付をした際に名前や社名を公表すると「売名行為だ!」「宣伝したいだけだろ!」と怒る人もいる。そのため、「しつけされている犬が欲しかったから」という理由でシェルターから引き取ると言った場合、「生き物をなんだと思っているんだ!」と納得いかない人もいるかもしれない。

しかし、たとえ個人的な損得勘定で、寄付や引き取りをしたとしても、結果的に救われる人や動物がいるのだとしたら、不純な動機だって良いと思う。綺麗事で殺されてしまうのであれば、メリットに訴えて幸せな運命をたどってほしい。

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ABOUT ME
アニータ江口
広告制作・記事執筆し、反応率を45.5倍にした人。趣味は街歩き・食べ歩き。好きなものは地歴・動物・昭和レトロ。好きな言葉はコスパ。特技は屁理屈をこねること。2018年5月、旧ブログから当サイトに引っ越し。うまいもの食べてうまいこと言いたい。