日常・思い出

第2回 意味がわかるとゾクゾクする超短編小説『54字の物語』文学賞に応募してみた

意味がわかるとゾクゾクする超短編小説『54字の物語』

皆さんは、意味がわかるとゾクゾクする話は好きだろうか。私は見たら後悔するのはわかっていても、つい見てしまうほど好きだ。

「意味がわかると怖い話」というのは、検索するとネットでもよくまとめられているので、おそらく好んで見る人は多いのだろう。

「意味がわかると怖い話」と聞くとホラーやミステリーを思い浮かべる人も多いかもしれないが、「意味がわかるとゾクゾクする話」と聞けば、SFやラブストーリー、ヒューマンドラマ、コメディなども含まれるだろう。

そんな「意味がわかるとゾクゾクする話」が好きな人は、きっとこの本にハマると思う。

氏田雄介さん作の『54字の物語』、意味がわかるとゾクゾクする超短編小説 54字の物語だ。 本のタイトル通り54字にまとめられた物語で、意味がわかるとゾクゾクする。

本の表紙の物語ももちろん氏田雄介さんの作品なのだが、他にどんな作品があるのかというと下記になる。

→ (引用元)https://www.php.co.jp/news/2018/06/54bungaku.php

この3つはサイト上に掲載していたものだが、本には短編小説が90話掲載されている。

どれも54字のうちにきれいにまとまっており、余計なものが何もない。しかも、オチもしっかりついていて、スッキリする。本当に素晴らしい。

ちなみに、この“『54字の物語』(氏田雄介 作/佐藤おどり 絵)の発刊を記念して、「54字の文学賞」を開催しており、2018年3⽉16⽇から5⽉6⽇にかけて、作品の応募を受け付けていた。 → https://www.php.co.jp/news/2018/03/54bungaku.php

「54字の文学賞」のルールとしては・・・

  1. 文字数を54字ぴったりに収めること 
  2. 句読点やカギ括弧も1文字にカウントすること

とのこと。 第1回目のコンクールはすでに終わっているので、優秀作品はこのページに掲載されている。どれも秀逸だ。 → https://www.php.co.jp/news/2018/06/54bungaku.php

【『第2回 54字の文学賞】開催 (〆切:7月8日まで)

このコンクールは一旦、2018年3⽉16⽇から5⽉6⽇の間で終わっていたのだが、なぜか現在、Twitterで再流行している。

そこで急遽、54字の物語』作者の氏田雄介さんが、【第2回 54字の物語】を開催するとツイート。締め切りは7月8日まで。

このツイートを見たので、私も参加してみることにした。短歌や川柳好きにはたまらないし、「コピーライターとしても訓練になるはずだ」と言い訳しながら、コピーの仕事からの気分転換。せっかく書いたので、ここにも載せてみる。

作ってみたい方は、下記の54字の物語ジェネレーターで作れるので、氏田雄介さんにリプライする形で応募してみるのはいかがだろうか?

→ https://ujiqn.github.io/54-novel/

私も『54字の物語』を7つ、作って応募してみた

おそらく結末は想像できるものだとは思うが、先にネタバレしてしまっても面白くないので、ネタばらしは後で書く。直したいところはあるのだが、せっかくなので応募したものをそのまま貼っておこう。

(1) 『美魔女の真実』

(2) 『ご縁に感謝する人々』

(3) 『治安の悪い街』

(4) 『部長の飲み物』

(5) 『彼女のワイパー』

(6) 『アリスちゃんに会いたい』

(7) 『起業塾で学んだ成果』

私が作った『54字の物語』のネタばらし

ギャグの説明のようで野暮だが、「どういう意味?」という人向けに書いておく。

(1) 『美魔女の真実』

「水だけで洗顔」ということは、石鹸やメイク落としを使っていないということ。つまり、この美魔女はすっぴんで出歩いたことで、誰にもばれなかった。

掘り下げると、この美魔女は普段、化粧のおかげで『美魔女』と言われているわけで、すっぴんになってしまうと気づかれないほどだということだ。

これは、自分自身がそうなのでは?と思ったことから作った。美魔女でおなじみの有名人ではないが、多分私もばれていない。

(2) 『ご縁に感謝する人々』

これは特に、説明することもない。「素敵なご縁に感謝」という人は、ラッパーなんじゃないかという皮肉。

試しに「素敵なご縁にマジ感謝」という部分を「すてきな!ごえんに!まじかん!しゃ!」と、区切って読んでほしい。ラップのようになるだろう。

私は頻繁に見ず知らずの縁もない人から「素敵なご縁に感謝」と言われるのが嫌になり、この人たちは見習いラッパーなんだと思うことにした。そこから作った話。

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(3) 『治安の悪い街』

これは2つの解釈があって、高級住宅街は富裕層が住んでいるので強盗に狙われやすいということと、過敏なマダムがちょっとしたことですぐに通報するという意味。『月曜から夜ふかし』で発想を得た。

(4) 『部長の飲み物』

これは前職での実話。現実は小説より奇なり。正確にいうと、デスクの下ではなく、デスクの1番下の引き出し。そこに新品のマヨネーズが何本も入っていたのだ。私が「小腹が減った」と言ったら差し出してきた。

なぜ飲んでいるのかと聞いたところ、おやつ代わりだとのことだった。ちなみに部長はダイエット中。固形物ではないから良いらしい。

冗談ではなく、何度も飲んでいるのを見かけている。社内にいる誰もが腫れ物に触るようで、つっこまなかったし、つっこめなかった。

(5) 『彼女のワイパー』

顔にある「ワイパー」=つけまつげ。これは私が、自分自身で感じたこと。おかしいなぁと思ったら、つけまつげをつけていなかったのだ。つけまつげは便利だよ。

(6) 『アリスちゃんに会いたい』

「†アリス†」ちゃんというのは、ネット上のハンドルネーム。ネットゲームでのハンドルネームや、Twitterなどでのアカウント名だと想像してほしい。

語り手は今まで、ネット上で「†アリス†」ちゃんとやりとりをしてきたが、今日は現実世界で初めて会う約束をした。

しかし、なかなか来ない。実は†アリス†ちゃんはネカマ(ネットのオカマ=ネット上で女性のふりをしている男性)で、隣にいるおじさんが†アリス†ちゃんだったというオチ。

そして、†アリス†ちゃんであるおじさんも語り手に話しかけないということは、語り手もネカマかもしれないと推測できる。ここの解釈は読み手の自由。

(7) 『起業塾で学んだ成果』

これは、あるある話の皮肉。何かしたいという目的がなく、“起業”が目的になっている人。そんな人が起業塾に行った場合、自分が今通っている起業塾の講師をマネることを思いつく。

ここでポイントなのは、本人は何も起業経験がない上に、起業塾に通いながら起業塾を開こうとして、起業コンサルをしているということだ。

そして、その起業塾の講師でさえも、もしかするとこの起業塾に通っている生徒と同じ状況かもしれないということだ。そうやって起業経験がない人が起業塾を開き、起業コンサルをするという悪循環が生まれる。

この作品は、単体で RTされたり、いいねされることが多いので、思い当たる人も多いのだろう。

#54字の物語  のハッシュタグを追うだけでも楽しめる

54字の物語』(氏田雄介 作/佐藤おどり 絵)の発刊を記念した「第2回 54字の文学賞」の締め切りは7月8日まで。

私のものはどれも皮肉ばかり。PHP研究所にはそぐわないだろう。ただ、選ばれる選ばれないは別にして作るのは面白い。ぴったり54字にするという制約があるので頭も使うし、ぴったりにできた時はスッキリする。

Twitterでハッシュタグ #54字の文学賞 #54字の物語 を追うだけでも、色々な人の作品を見ることができて楽しめるのでおすすめだ。

『54字の物語』が好きならば、星新一さんもオススメ

きっとこの『54字の物語』が好きならば、「ショートショート」の神様、星新一さんの話もハマると思う。

ねらわれた星 (星新一ショートショートセレクション 1)

ショートショートの広場 (講談社文庫)

54字よりは文字数は多いが、だいたい1分程度で読み終える短編=ショートショートだ。どれもオチが秀逸だ。

もともと、読み物として好きではあったが、出版社を受けている時に参考資料としても散々読んだ。本当に懐かしい。

出版社の作文付きエントリーシートや、作文テストで出題されるテーマは、ショートショートや三題噺(大喜利の一種で、3つの単語を使って話を作る)のようなものが多いのだ。

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私は結局、面接で落ちてしまったわけだが、どこの出版社も作文テストでは落ちなかったのはこのおかげかもしれない。

星新一さんの本は、読み物としても頭の体操としてもオススメだ。小学生にでも楽しめるし、大人でも考えさせられる内容。短いので、通勤時間などでも気軽に読める。

54字の物語』についてはまだ購入していないので、私の実体験として「これよかったよ!」と強くすすめられないのだが、見本だけ見ても面白いので私は購入するつもりだ。

とりあえず、色々な人の応募作品を軽く読みたい人は、Twitterでハッシュタグ #54字の文学賞 #54字の物語 を追うだけでも楽しめると思う。

追伸:全編ホラー系の2巻『54字の物語 怪』発売決定

意味がわかるとゾクゾクする超短編小説 ゾク編 54字の物語 怪

話題になった『54字の物語』だが、第2巻にあたる『意味がわかるとゾクゾクする超短編小説 ゾク編 54字の物語 怪』が11月18日に発売されるとのこと。9月8日現在、予約受付中だ。

今回はタイトルの『』からわかるように、ホラー系である。しかも、全編だ。すでに表紙に載っている作品でゾクゾクするのだから、中身もこれから楽しみである。

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アニータ江口
広告制作・記事執筆し、反応率を45.5倍にした人。趣味は街歩き食べ歩き。特技は屁理屈。好きなものは地歴・動物・昭和レトロ。2018年5月、旧ブログから当サイトに引っ越し。うまいもの食べてうまいこと言いたい。