Contents
あなたの「SNS名」や「サービス名」は誰でも読める?
こんな風に言っている人がいる。確かにこれで、覚えてもらえるのならば良いだろう。だが、日本人向けなのに日本人にわかってもらえなければ意味がない。
売り手のこだわりよりも、利用者目線に立って「わかりやすさ」「覚えやすさ」に特化した方が良い。「読めない名前」なんて論外である。
ロゴデザインは、利用者が覚えやすく「あ、〇〇会社だ!」とか「〇〇アプリだ!」とか「〇〇ドリンクだ!」とか、一瞬でわかるようにするのが大前提。
- その「会社名」「商品名」「サービス名」は、読めて覚えやすいか?
- その「名前」は、無意味にローマ字や英語で連なっていないか?
- その「ロゴデザイン」は、わかりやすく、印象に残りやすいだろうか?
もし、これにドキッとしたら是非、この記事を読んでいただきたい。
なお、以前に「商品名の付け方」に関して、以下のような記事を書いている。
今回の記事はどちらかというと、商品名の付け方の中でも、「表記」「見た目」「デザイン」に重きを置いた内容だ。見ていただいた方が一目瞭然なので、以下に例を挙げていく。
「英語・ローマ字」を「カタカナ」に変えたサービス例
「careertrek」→「キャリアトレック」
まずは、「careertrek」。通称「キャリトレ」だ。株式会社ビズリーチが運営している転職求人サービスである。
ビズリーチ同様にスカウト待ちに強い姿勢の転職活動サイトだ。企業や人材紹介会社、ヘッドハンターからスカウトが来る。
補足:運営会社かつ、類似サービスの「ビズリーチ」について
先に補足として、careertrekを運営しているビズリーチについて説明しておくが、careertrekと同じく転職求人サービスである。
ただし、即戦力になる高所得者や、管理者ポジションをターゲットにしている点が大きく異なる。登録にも承認が必要で、課金するとより良いサービスを受けられるという強気な部分もある。
最近では、新卒向けの就活サイトも立ち上げたようで、「ニクリーチ」という「人事とおニクを囲みながら、普通の就活では出来ない深い会話、そして深いコネクションを作ることが出来る。」というのを売りにした、一風変わったサービスを打ち出している。
補足:転職求人サービス「careertrek」について
一方で、キャリアトレックは「挑戦する優秀な20代」に特化しているのが特徴。
ビズリーチや肉リーチのように、「即戦力になる高所得者(予備軍)や、管理者ポジション(予備軍)」をターゲットにはしていないし、万人受けするサービスだ。
そんな「careertrek」だが、このサービス名は読みにくいし、インパクトに欠ける。「careertrek」を「キャリアトレック」と読むのかどうかも一瞬ではわからない。
- career → 生涯、経歴、履歴、(特別な訓練を要する)職業、生涯の仕事、疾走
- trek → (長い骨の折れる)旅行、移住 (※英和辞典「weblio」調べ)
分解すれば、上記のような意味なのだろうが、「careertrek」とメリハリもなく繋げているので、どこで区切るのかわからない。
それに、CMしているビズリーチほど有名でもないし、株式会社ビズリーチのサービスだと知らない人も多いだろう。
また、たとえ友達に「キャリトレ、よかったよ!」と言われていたとしても、「キャリトレ=キャリアトレック=careertrek」だと把握していない人は、「careertrek」という文字を見ても「あ、例の転職サイトだ」とも気がつかない。
さらに、「careertrek」という造語は一般的ではないし、単語自体を覚えていないので検索できない。
そもそも、「career + trek」という造語だと把握している人は少数で、検索時に「r」や「e」を必要以上に連打してしまう人もいるだろう。
上記のようにロゴは綺麗だが、これといって印象に残らない。(真っ平らであるからかもしれない)そのため、「読めないけどロゴで覚えている」というのも期待できないだろう。
「careertrek」のサービス名・ロゴはどう変わったか?
そんな「careertrek」がどうなったのかというと・・・これだ。
↓ ↓ ↓
ロゴを「careertrek」を「キャリトレ」に変え、サービス名そのものも「キャリトレ」に変えた。これならば一瞬で覚えられ、サービス名も理解できる。
「careertrek」の読み方である「キャリアトレック」だが、利用者のほとんどが略して「キャリトレ」と呼んでいた。
株式会社ビズリーチ(所在地:東京都渋谷区/代表取締役社長:南 壮一郎)が運営する、挑戦する20代の転職サイト「careertrek(キャリアトレック)」(URL:https://www.careertrek.com/)は、これまで愛称として親しまれていた「キャリトレ」を正式なサービス名とし、ロゴも刷新します。
実際に、公式サイトのプレスリリースでもこのように、これまで愛称として親しまれてきた「キャリトレ」に変えたと言っている。
おそらくサービス開示時には「careertrek」にも「キャリアトレック」にも、運営側の何らかの思い入れやこだわり、意味があってこの名前にしたのだと思う。
だが、その運営側のこだわりよりも、利用者目線に立って「わかりやすさ」「覚えやすさ」に特化した良い例だろう。
特に、利用者が呼んでいた略称「キャリトレ」という愛称にしたのがとても良い。
このように並べると、分かりやすさは一目瞭然だ。「careertrek」のままだと流し見してしまったら頭に入ってこないし、印象に残る。一方「キャリトレ」だと流し見しても覚えられる。
さらに、ロゴデザインも変えているのもお気づきだろう。前のサービスロゴデザインは、おそらく繋がりをイメージしたもののように見受けられる。だが、正直伝わりにくいし、覚えにくい。
新しくしたロゴデザインは、利用者が覚えやすく、印象に残りやすいものに変えたのだろう。1色かつシンプルで覚えやすい。
なお、サイトを見たところ、新しい「サービスロゴに込めた思い」が載っていた。
「キャリトレ」の新たなロゴは、ダイヤモンドと羅針盤を組み合わせたデザインです。羅針盤は、目指すべき場所を「発見する」ための存在であり、進むべき道に迷ったときに確認するものでもあります。羅針盤に示されている東西南北の方向からは、「どこにでもいける」という可能性を感じ取ることもできます。また、キャリアをスタートしたばかりの20代は、可能性を秘めたダイヤモンドの原石のような存在です。「キャリトレ」は、自分の本当の価値や新しい可能性を発見し、新たなキャリアに挑戦するときや進むべき道に迷ったときに必ずそばにいる存在でありたい。「キャリトレ」のロゴには、そのような思いを込めました。
読むと、「なるほどね・・・」と思うのだが、言われなければ「ダイヤモンド」と「羅針盤」だといいうことには気がつかなかった。だが、それでも良いのだ。
ロゴデザインは、利用者が覚えやすく「あ、〇〇会社だ!」とか「〇〇アプリだ!」とか「〇〇ドリンクだ!」とか、一瞬でわかるようにするのが大前提。
極論言うと、運営側の思いは一瞬で伝わらなくても問題ない。
ブックマークにすると、こんな風に表示される。前のものよりも確実に見つけやすい。(個人的には「キャリトレ」という文字にした方が良いとは思うが、前のものよりは良いだろう。)
「MIIDAS」→「ミイダス」
そして、もう一つ紹介する。「MIIDAS(ミイダス)」だ。パーソルキャリア(旧社名:インテリジェンス)が運営する、DODA以外の転職求人サービスである。
仕組みは、ビズリーチやキャリトレにやや似ていて、基本は「スカウト待ち」の姿勢に強い。
補足:転職求人サービス「MIIDAS」について
大きな特徴は、過去のデータから自分の市場価値がわかる点だ。ある程度記入すると勝手に想定年収が出されるのが面白い。(大体今より高く出るので、少し元気にもなる)
なお、ビズリーチやキャリトレと異なる点は、人材紹介会社やヘッドハンターからのスカウトがないところ。
企業からの直接求人や直接スカウトに絞っているので、面接確約のオファーしか届かず、(失礼承知で言うが)厄介なエージェントからのDMに悩まされずに済む。
で・・・そんな説明はこの辺にして、問題なのはこのサービス名とロゴだ。読めるだろか?私はこのサービス名をずっと「MIIDAS」を「マイダス」だと思っていた。意味はわからない。
「MIIDAS」のサービス名・ロゴはどう変わったか?
そんな「MIIDAS」であったが、どうなったかというと・・・・・・これだ。
↓ ↓ ↓
え…「MIIDAS」って「ミイダス」だったんだ…とロゴデザインの変更で初めて知った。「マイダス」と読んでいたのは私くらいかもしれないが、ローマ字読みのままであったら私のように誤読していた人もいるだろう。
「“ミイダス”っていう転職サービス、良いんだよー」と友達に言われていたとしても、きっと私はそれが「MIIDAS」だとはわからなかっただろう。
それに「MIIDAS」だという文字面を覚えていないし、完全に「マイダス」だと思っていたので、検索するときに「I」を1つしか打っていなかった。
カタカナの「ミイダス」にしておけば一瞬で覚えやすいし、誤読もない。
実はこの「ミイダス」という意味は、「見出す」ということらしい。自分の市場評価・求人を見出すとか原石を見出すとか、そういう意味ではなのだろう。
画像バナーでも「あなたの本当の価値を“見いだす”」と書いていたり、テキストバナーでも「転職すべきタイミングを見出します!」と書いているので、この私の予想はおそらく正しい。
それに今検索してみたところ、個人ブログなどで「MIIDAS」(ミーダス)」と表記している人も多かった。おそらく、元が「見出す」だとは思われていなかったので、「ミーダス」とされていたのだろう。
だから公式が、「うちは『ミイダス』ですよ!」と伝えようとして、「MIIDAS」を「ミイダス」に変えたのかもしれない。
このように並べると、分かりやすさは一目瞭然だ。「MIIDAS」のままだと流し見してしまったら頭に入ってこないし、印象に残る。一方「ミイダス」だと流し見しても覚えられる。それに、誤読もない。
この場合は、これもまた、利用者目線に立って「わかりやすさ」「覚えやすさ」に特化した良い例だろう。
キャリトレとか異なり、利用者が呼んでいた略称は「ミーダス」だったかもしれないが、口に出してしまえば「ミイダス」も「ミーダス」もほぼ同じだ。
それにそもそも、このサービス自体がキャリトレほど有名ではなかったので問題はないだろう。だから今のうちに「見出す」由来の「ミイダス」なのだと変えたのだと思う。
「“ミーダス”ってなんだろうね」と思われるよりは、「“見出す”からの”ミイダス”なんだ」と、意味を分かった方が覚えやすい。
そして、ブックマークにするとこんな感じになる。以前は「MIIDAS」と表記されていたところが「ミイダス」に変わった。あきらかにわかりやすい。
単純に「カタカナ」にすれば良いというものではない
- 「careertrek」→「キャリトレ」
- 「MIIDAS」→「ミイダス」
この2つの事例を挙げたが、これだけでも分かりやすさや覚えやすさの変わりようがわかると思う。
サービス名や会社名、商品名、そしてそれらのロゴデザインは・・・
- わかりやすさ
- 覚えやすさ
- インパクト(印象に残りやすさ)
が大事である。
一応補足しておくが、英語やローマ字表記をやみくもに「カタカナ」に変えれば良いというわけではない。「キャリトレ」「ミイダス」の場合は、バランスが良かったのだ。
日本人なのでカタカナの方が瞬時にわかりやすいが、いくらカタカナでもやりすぎたら逆効果。例えば「スーパーマジョリティーエクゼクティブチーフプロデューサー」と記載されていても、分かりづらいし覚えにくい。
「名前」もわかりやすく、覚えやすく、インパクトが◎
この「わかりやすさ」「覚えやすさ」「インパクト」が大事になってくるのは、サービス名や会社名だけではない。名前においても同じだ。
Twitterやfacebook、ブログでのアカウント名は何にしているだろうか?
もし私が「アニータ江口」ではなく、「AnitaEguchi」としていたら、一瞬で「アニータ江口」とはわからないだろう。
また、覚えやすさ重視でインパクトを出すのだとすると、仮に「えぐちはなこ」という名前だとして、「江口花子」と表記するだけではインパクトがない。
だからといって、差別化したいだとか血迷って「栄勾知華恋」とかわけわからない芸名にしても覚えてもらえない。画数が云々とか運気が云々とかいう以前に読めない。ならば、「えぐち はなこ」「エグチ ハナコ」のがまだ読めるので良い。
本名を大事にするのは良いことだ。だが、もしアカウント名など、本名でなくても良い場合はインパクト重視にするのも良いだろう。特にSNSなどでは覚えてもらってなんぼだ。
ちなみに私の「アニータ江口」の「アニータ」は、大学時代のあだ名である。私も夫も日本人だ。そして、「江口」は、結婚して変わった実際の苗字である。
「アニータ江口」にしているおかげで覚えてもらえるので、名前にしても「わかりやすさ」「覚えやすさ」「インパクト」は重要なのだと実感している。