天然うなぎの旬は『冬』
本日7月20日は、土用丑の日。土用丑の日というよりも、もはや「うなぎの日」というイメージだ。
私としては子どもの頃、「土用」ではなく「土曜」だと思っていたもので、「土曜にうなぎを食べる日「だと思っていた。子どもからしたら、うなぎを食べられればなんでもいいのでそんなもんだろう。
うなぎ問題は色々取りだたされているが、なんだかんだ正月におせちを食べるくらいの感覚になっている人も多いのではないだろうか。
だが、みなさんご存知だろうか。うなぎの旬は、冬なのだ。夏のうなぎは、時期はずれで味が落ちた魚なのである。(あくまで天然のうなぎに限った場合である。養殖であれば旬は関係なし。)
うなぎは、冬の始まりに産卵の準備に入る。だから、その時期の天然うなぎは脂がのって美味しいのだ。
不人気のうなぎを買わせる「土用の丑の日」戦略
それでは、なぜ、土用丑の日に、「うなぎ」を食べるようになったのか疑問に思うと思う。わざわざ旬でもないうなぎを揃いも揃って食べるのかと。
要約すると、敏腕ヒットメーカーかつコピーライターが作った「本日、土用丑の日、うなぎの日」というキャッチコピーがきっかけなのだ。
ざっくり説明するならば・・・江戸時代の夏、全くうなぎが売れずに困っていたうなぎ屋さんが、発明家として有名な平賀源内に頼んでうまいキャッチコピーをつけてもらい、それがきっかけで大ヒットしたのである。
静電気発生器である「エレキテル」など、発明家として名を馳せた平賀源内。元々学者なので、雑学王でもあったのだろう。
それに、発想が豊かなので、ヒットメーカーやコピーライターとしての才能もあったと思われ、エピソードを見てもかなりの自由人のようだ。
そんな平賀源内が、「本日、土用丑の日、うなぎの日」という貼り紙を店先に貼ることをすすめた。そのおかげで、夏には不人気だった「うなぎ」が、土用の丑の日に売れるようになったのである。
キャッチコピーで流行も文化も作ってしまった平賀源内
元々、「『丑の日』には、“う”がつくものを食べると体に良い」と言われてきた。そのため、「う」がつけば、「うなぎ」でなくても良かったのである。
そう、言ってしまえば「本日、土用丑の日、うなぎの日」は、うなぎを売るためのこじつけなのだ。
うなぎを売るために「土用の丑の日は、うなぎを食べる日」という食文化を定着させたのである。聞こえが良い言葉に置き換えれば、プロデュースであり、ブランディングである。
このように考えると、『うなぎ』のキャッチコピーさえ作られなければ、うなぎ以外のものが乱獲されていたかもしれない。
言葉の力は時に恐ろしい。旬ではないために売れない「うなぎ」に、ありがたみがあるような心をつかむ「キャッチコピー」をつけ、売り方や宣伝方法も変えた。
結果、流行させてることに成功し、文化として定着させ、今では絶滅危惧種になるほどの大ヒットを生み出してしまったのだ。
そして、平成最後の土用の丑の日でさえ、うなぎを食べるという風潮や社会現象が続いている。一つの文化を作ってしまたのである。このように考えると平賀源内は天才であり、うなぎ反対派からしてみれば憎き敵かもしれない。
とはいえ、今では養殖ものが多いので、旬は関係ない。たとえ旬ではなくても、スタミナがついて夏バテ防止という面では良いのではないでしょうか。
そんなこんなでくだをまき、スーパー行けば流される。土用丑の日、うなぎの日。うなぎを
食すか迷う金曜の夜。蒲焼きさん太郎でも買って帰るか。
追伸
今、「蒲焼太郎」と検索し、正式名称は「蒲焼き“さん”太郎」だということを初めて知った。何度も買ったことがあるのに全く気づかず、呼び捨てにしていたよ。絶滅危惧種のうなぎは敬うべき存在だもんな。
なお、ウナギの生態について詳しく知りたい方はこちら。
「うなぎの生態を勉強しよう」国土技術政策総合研究所 横須賀庁舍
→ http://www.ysk.nilim.go.jp/kakubu/engan/kaiyou/kenkyu/hakase/unagi-phd.pdf
子ども向けで1番わかりやすく、出どころも信頼できる参考資料を見つけたので貼っておく。お子さんと見るのはいかがだろうか。