言葉と伝え方

惜しい商品パッケージ:広瀬すず版チャルメラ赤デザインは「強み」がわかりづらい

1秒間だけこのパッケージを見てほしい

1秒間だけ見てほしいパッケージがある。これだ。

さて、何を覚えているだろうか。

  • 広瀬すずがかわいい
  • 広瀬すずが猫耳をつけていた
  • チャルメラのカップラーメン

おそらくこの2つくらいしか覚えていないだろう。

これは、広瀬すずの異常な可愛さのせいだ。ただでさえ可愛いのに、猫耳なんて犯罪だろう。「すずネコ」パッケージらしいが、おそらくこちらばかり見ていた人も多いのでは?仕方があるまい。全部すずのせいだ。

とはいえ・・・せめて味くらいは覚えているだろう。何味だっただろうか?

答えは・・・

  • しょうゆ味

である。

わからなかった人は・・・広瀬すずの可愛さに目を囚われたせいである。それにこれは、あなたのせいじゃない。明星の思惑である。

ならば、最後の質問にしよう。

「△△△の旨みでスープがうまい」と書いてあったのだが、この“△△△”とは何だろうか。

答えは・・・

  • “ホタテ”の旨味

である。「ホタテの旨みでスープがうまい」と書いてあったのである。

きっと、答えられた人は少ないはず。私も買ってから気がついた。

さて、なぜこんな質問をしたのかというと、このパッケージは非常にもったいないデザインだからこそ、突っ込みたかったのだ。

このパッケージで、買ってもらえるのだろうか

真夏の食べ比べ 限定 明星 チャルメラ / すずねこ チャルメラニャ 醤油&みそ&ちゃんぽん&バリカタ豚骨 各1個 すずネコ 広瀬すず

この商品パッケージを見て「今すぐ買いたい!」となるか?

パッケージは、商品広告みたいなものである。パッケージデザインによっては、中身は同じでも大きく売上が変わってくる。

再確認としてこのパッケージを出すが・・・

このパッケージを見て「今すぐ買いたい!!!!!」と思うだろうか。

きっと熱狂的な広瀬すずファンは速攻買うだろう。値段なんかどうでもいいはずだし、他の商品なんて眼中にないはずだ。

しかし、いくら広瀬すずが可愛いとはいえ、スーパーにしろ、コンビニにしろ、カップラーメン売り場は激戦区である。

このカップラーメンを買ったところで広瀬すずが会いに来てくれるわけでも、付き合えるわけでもない。ただこの写真の蓋が手に入るだけである。

広瀬すずファン以外は、カップラーメンを何で選ぶのか?

ならば、熱狂的な広瀬すずファン以外の一般的な人がどこを見てカップラーメンを選ぶのかというと、味と値段と量だろう。

量に関しては、カップラーメンのカップの大きさで予想はつくはず。見てもわからないものや、「大盛り」が1番の売りではない限り、そこまで謳う必要はないだろう。

値段に関しては、似たり寄ったりだ。数十円の違いでも、結局スーパーによって自社商品やら他社商品が値下げされて一律になるかもしれない。

それに、値段はカップラーメンのパッケージには書かないので、自ら安さアピールはできない。値段の見せ方も結局スーパーやコンビニ次第だ。

そうなると、食べ物なのだから「味」が重要になってくるのは当然だろう。

3秒で「買うかどうか」判断されている

人は、3秒間で「買うか買わないか」を判断するのだという。決定までするのだから、実際見ているのは1秒くらいだろう。

冒頭で「1秒間だけこのパッケージを見てほしい」と言ったのは、あなたが普段買い物する時と同じ状況にしたかったからだ。

ずらーっと大量に似たようなカップラーメンが並んでいたら、じっくり1つ1つ手にとってパッケージを見たりはしないはずだ。

飛び抜けて安ければ買うかもしれないが、全て同じ値段で売っていることもある。それに「そのうち食べるだろう」という買いだめではなく、今すぐ食べる人は味で選ぶはずだ。

だからこそ、3秒未満で「どんな味なのか」、もっといえば「おいしいのか」わからなければ買ってもらえない。

目立たせて注目させる点では「広瀬すずパッケージ」は◎

広瀬すずのパッケージにすることは悪くないし、むしろ良い。これは、広瀬すずファンが買うからというだけではない。

カップラーメン売り場で明らかに目立つので、「お?!なんだあれ?!」となって目を引くので、取っ掛かりのフックとしては良いだろう。看板みたいなもんだ。

おそらく、このパッケージを作った人は

  1. 広瀬すず
  2. チャルメラ
  3. しょうゆ味

というように、視線を誘導したいのだと思う。その点では正しい。

明星としては、広瀬すずに全振りしたのだと思う。おまけメインになっているお菓子みたいなもんだ。だから、他はあえて目立たせないという方針だったのだとしたら、間違いではない。

とはいえ、この「しょうゆ」という文字、少しわかりにくくないだろうか。広瀬すずパッケージというだけでは、一般的な人には売れないだろう。

「何味なのか」わからないのは大問題だ

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このパッケージで一番問題なのは、瞬時に「何味なのか」わかりにくい点である。

他のものは「バリカタ」とか「ちゃんぽん」なども文字が目立って何味なのかすぐわかるのに、、圧倒的に「しょうゆ」味のパッケージはわかりにくい。

 

この「しょうゆ」という文字は、ベージュ(薄茶色)で書かれているのだが、背景のスープの色も似たような色なので埋もれている。

おそらく瞬時に目に飛び込んでくるのは、かわいい広瀬すずの写真と「チャルメラ」という赤い太文字。

「チャルメラ」という有名な商品名から、安心感を得ることができる。ここを目立たせるのも良い。

だが、もう少し「しょうゆ」という文字は、わかりやすい色にしても良かったのでは?と思うのだ。

写真で何味なのかわかるのならば、いちいち目立たせなくてもよかろう。だが、この色では味噌とも間違えてしまいそうだ。

誰もが“赤色パッケージのチャルメラ=しょうゆ味”と連想できるかと思ったら、大間違いなのである。

目立たせることで考えるのであれば、暖色の赤や茶色系の反対色である、寒色の青色や緑色である。(だから緑色で丸をつけた)だが、寒色はあまり美味しそうには見えないのが難点だ。

だとすると、「チャルメラ」の赤い太文字とケンカしない程度には、もっと濃い色かハッキリした色で記した方が良いのだ。

王道のしょうゆ味なのに、他商品との違いもわからない

「いや、“しょうゆ”という文字くらい見たよ」という人もいるだろう。

  1. 広瀬すず
  2. チャルメラ
  3. しょうゆ味

という視線誘導で見た人も多いのでは?「チャルメラ」という文字が目立つので隣もついでに見たのかもしれない。

だが、おそらく「ホタテの旨みでスープがうまい」という文までは見ていないだろう。“しょうゆ”という文字以上に、全然目立っていないからだ。

しかも、カップラーメンの中でも超王道の「しょうゆ」味。ほぼ同じ値段かつ同じ量で、しょうゆ味のカップラーメンなんてたくさんある。

にもかかわらず、他のしょうゆ味のカップラーメンとの違いがわかりにくいのは、問題なのである。

背景に埋もれるぐらいの色と、小さくて細い文字で書いてある「ホタテの旨みでスープがうまい」は、むしろ隠したいようにも思えてしまう。

他との違い(選ばれる理由)がわからなければ買われない

どんなものでも、他との違い(選ばれる理由)がわからなければ買ってもらえない。

商品を買う上で、量や値段、ブランドなどは重要な要素だが、食べ物なのだから「おいしいのかどうか」が1番重要になってくる。

いくら量が理想的で、値段も安く、見た目も良いものだとしても、美味しくなければ買わないだろう。それでも買うような人は、おまけ目当ての人だ。

そこで、今回のカップラーメンにおいて、他商品との違いとしてアピールするべき点は、「ホタテの旨みでスープがうまい」というところだったのだと思う。

おそらくパッケージに書いているのだから、それなりに売りポイントなのだろう。他の商品との違いを記すのであれば、ここがポイントになる。

「どれにしようかなー」と同じしょうゆ味のカップラーメンを眺めている中で、「ホタテの旨みでスープがうまい」というのを見たら、なんとなく美味しそうに感じてこないだろうか。

「へー、ホタテの旨味ね。なんか美味しそう」

このように、他のしょうゆ味のカップラーメンではなく、この明星のチャルメラが選ばれる理由になる可能性があるのだ。

もしかすると、他のしょうゆラーメンよりも高かったり、量が少なかったとしても、「なんとなく美味しそう」というだけで選ばれるかもしれない。

そのくらい、他の商品との違いをハッキリさせることは、大事なのである。

正直、食べながら「あーホタテの旨味だー」とは感じなかったのだが、正直そんなことはよかろう。書いてあったら「ホタテの旨味かー」とかありがたがって食べてしまうものだ。

結局「おいしい」と思われれば、大体満足してもらえるのである。

リライト:私ならば、このようなパッケージに変える

雰囲気はがらりと変えず、私が少し変えるのであれば、このようにする。

ホタテの画像は入れたかったが、誤解されそうなので却下

はじめは「ホタテの旨みでスープがうまい」という文章の横に、ホタテの絵か写真を小さく入れるのも良いかと思った。

そうすれば、いちいち語らなくても、ホタテ、少なくとも貝が関係していることは瞬時にわかるからである。(文章で説明するよりも画像でわかるものは、画像を掲載した方が良い。)

だが、そうすると「ホタテラーメン」「魚介系ラーメン」に思われてしまう可能性があるので今回はなしにした。

また、あくまで風味なので商品の都合上、大々的に「ホタテ」アピールできないのではないかと考えたのだ。

「ホタテの旨み」は移動&セリフにして、適度に目立たせた

今回は、「ホタテの旨みでスープはうまいニャ!」は移動させ、広瀬すずに吹き出しをつけて語らせた。「ニャ!」と書いてあるのだから、セリフで間違いない。

セリフで顔を覆うわけでもないし、セリフで黒猫の服の一部を隠すくらい問題ないだろう。(縦書きでも良いと思う)無理やり見えづらいスープの写真に載せなくてもよかろう。

しかも、「ホタテの旨みでスープがうまいニャ!」を見れば、なんとなく美味しそうにも感じるし、「メインは何味だ?」とも確認するだろう。

「しょうゆ」の文字はもっと大きく太く目立つ色で

「ホタテの旨みでスープがうまいニャ!」を移動させたことで、「しょうゆ」の部分に余裕ができる。

だからこそ、「しょうゆ」の文字はもっと大きく太く、目立つ色にしても、ごちゃつくことはないだろう。

決め打ちで「この色!」というのは今は思い浮かばないのだが、「チャルメラ」の赤字と同じ色でも、「ニャ」の黒字でも良いだろう。

茶色系のイオにしたとしても、少なくとももっと濃いかハッキリした色にした方が目立つはず。

以上が私の案である。

その商品は、どういう時に必要とされるのか?

私の案は、あくまで例である。

明星さんに取材したわけでも話を聞いたわけでもないので、なぜこのようなパッケージにしたのかという前置きは知らない。だから、好き勝手言ってしまっている部分はあるだろう。

ただもし、熱狂的な広瀬すずファン以外にも「美味しそう」と思われて買ってほしいと思うのであれば、このようなアプローチはできたと思う。

芸能人やらキャラクターなどを起用すれば、引きつけることはできるし、買うきっかけにもなる。だが、それだけでは多くの人には選ばれない。

少なくとも、うちの近所の複数のスーパーでは、この広瀬すずパッケージのカップラーメンが投げ売りされていた。おそらくあまり売れなかったのだろう。

「その商品は、どういう時に必要とされるのか?」と、考えると根本的なニーズに気づけるはずである。

例えば水漏れで困っている人は、イケメンの店員だけど直すのが遅い業者さんよりも、見た目は普通だけど速く来て直してくれる業者さんを選ぶだろう。

同じように考えれば、食べ物は「美味しいかどうか」が重要である。(健康志向の人は美味しさよりも重要視する人もいるかもしれないが、そのような人はカップラーメンは食べないので除外。)

買うか買わないかの判断は、3秒程度。瞬時に決まってしまう。

だからこそ、なぜその商品が買われるのかを今一度考えることが大切であり、他との違いをいかにアピールできるかが「選ばれる」ために必要なのだ


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ABOUT ME
アニータ江口
広告制作・記事執筆し、反応率を45.5倍にした人。趣味は街歩き食べ歩き。特技は屁理屈。好きなものは地歴・動物・昭和レトロ。2018年5月、旧ブログから当サイトに引っ越し。うまいもの食べてうまいこと言いたい。